アデノウイルスに感染!!子供の食事はどうする?

アデノウイルスに感染!!子供の食事はどうする?

冬場、インフルエンザの感染とともに、ウイルス性胃腸炎で苦しむ子供の数も急増します。
普段から、感染ないよう予防線を張ることも重要ですが、感染してしまったらあとは適切な対処を大人がしてあげるしかありません。
下痢に嘔吐の処理だけでも大変なのに、症状が辛くてぐずる子供にも手がかかるものですが、ぜひ、できる工夫を少しずつサポートしてあげて、元気な元通りの生活に戻してあげることができるようにいしていきたいものですね!

1、アデノウイルス胃腸炎とは?

子供の胃腸炎 種類

子供の胃腸炎にはいくつか種類があります。大きく分けると2つ。

・ウイルス性胃腸炎(冬に流行しやすい)

  • アデノウイルス
  • ノロウイルス
  • ロタウイルス

・細菌性胃腸炎(夏に流行しやすい)

  • 病原菌大腸炎
  • サルモネラ菌
  • 腸炎ビブリオ

今回は、冬場に多く、また乳幼児が最も罹患しやすいウイルス性胃腸炎についてです。

タイトルには、ウイルス性胃腸炎のなかでもアデノウイルスの名称を使っていますが、これは筆者の親族が最近アデノウイルス胃腸炎に感染したことがきっかけでコラムを書いているからであって、症状や対処法などはノロウイルス・ロタウイルスとも大きな違いはありません。

1-1、アデノウイルス胃腸炎の症状

アデノウイルス胃腸炎の症状

アデノウイルス・ノロウイルス・ロタウイルス胃腸炎で代表的な症状は「下痢」「嘔吐」です。
それらに加え、高熱、食欲不振、腹痛も出やすくなってきます。

言葉がうまく発することができない乳幼児は、ぐずり方や不機嫌さが顕著に現れたり、急に食事に興味を示さなくなったりする中で、「下痢」「嘔吐」が始まって初めて異常事態に気づく親御さんが多くなるでしょう。

ウイルス性胃腸炎の場合、吐瀉物から近くにいる兄弟や親御さん、おじいちゃん・おばあちゃんにも感染する危険性が高いですから、十分に気をつけてください。
とにかく、原因がわからなかったり、異常だと感じた時は、お母さんも素手で処理をしないこと。汚物は早めに片付けて、屋外に出すなどして、二次感染をしない手立てをすることが好ましいでしょう。

1-2、アデノウイルス胃腸炎の注意点

・脱水

子供の胃腸炎において最も注意しなければならないのは「脱水」です。特にウイルス性胃腸炎は下痢や嘔吐の数が頻回となり、体内の水分が急激に失われていく上に、高熱が出るために発汗でさらに脱水につながりやすくなります。

とくに言葉を発することができない乳幼児や、脱水を自覚できない子供は、そばにいる大人たちが水分量を把握してあげなければ、大変な二次被害につながります。

以下、脱水が疑われる子供の症状を頭に入れておいてください。

  • 元気がなくぐったりしている
  • 尿が出ない、極端に少ない
  • 尿の色が濃い
  • 口の中の粘膜や舌が乾燥している
  • 目の周りがくぼんでいる

上記を自覚したら、点滴が必要なケースもあります。

本当に脱水をしているのかどうかは、医療機関で採血をすればすぐにわかることなので、迷わず受診することをおすすめいたします。

・内服について

ウイルス性胃腸炎においては、有効な内服薬はありません。

ウイルスが体内からいなくなるのをじっと待つしかなく、下痢や嘔吐をすることでウイルスを体外に出すことにもつながるため、むやみに下痢止め・制吐剤などは使うことができないのです。
高熱に関しては、子供の体力保存や、熱性けいれん予防のために、内服か座薬かの解熱剤が処方されることもありますので、医療機関にお問い合わせください。

2、アデノウイルス胃腸炎の子供の食事

アデノウイルス胃腸炎の子供の食事

次に、ウイルス性胃腸炎に罹患してしまった子供の食事についてです。
あまりにも食欲のない我が子に、心配してしまうかもしれませんが、症状の回復とともに食欲も徐々に回復しますから、焦らずによく観察をしていくことが大切です。

2-1、ウイルス性胃腸炎、基本は絶食になる

基本は絶食となります。そもそも吐き気があるために、本人も食事を食べたがりませんし、固形物を無理に食べさせて嘔吐をすることで食べ物を詰まらせたりする原因にもなりますので、ウイルスがいなくなるまでは飲水のみとなります。

ある程度大きくなったお子さんなどだと、他の家族の食事の匂いだけでも嘔吐が誘発されますので、匂いがもれないよう配慮してあげることも大切です。

2-2、水分補給を第一優先する

もともと体内の水分量が多い子供ですが、続く下痢・嘔吐や高熱による発汗により、体重減少も大きくなります。(筆者の親族は、1歳でしたがほんの数日で体重が10㎏も落ちてしまいました。)

一気に飲みすぎると嘔吐しますし、飲ませないと脱水になり生命の危険にも関わります。
下痢・嘔吐・発熱で苦しい時でも、最善のケアは水分補給と心得てください。

《母乳》

与えても問題ありません。加減がわからず、飲みすぎてしまって嘔吐につながるかもしれませんが、乳幼児も苦しい時期です。スキンケアを目的として安らぎを与える時間にもなりますので、欲しがったら時間を十分に取ってあげましょう。
本人も、調子が悪いのでいつものような吸い方はしないことでしょう。

《経口補水液》

繰り返す下痢や嘔吐で、体内の電解質バランスが崩れやすくもなっています。
まずは、飲めるものでいいのですが、手軽に電解質バランスを補給するものとしては経口補水液を紹介する医療機関が増えています。

一般商品名だと「OS1」になります。ただ、経口補水液は、飲みすぎてはいけないものですので、医師の指示に従って補給するようにしてください。白湯で少し薄めてもいいかもしれません。

あまり、市販の飲み物は飲ませたくない、というお母さんには、ご家庭でできる飲料の工夫として、果汁の利用がおすすめです。

お好みの果汁(レモンやグレープフルーツオレンジ)などの果汁を絞り、白湯で薄めに割ってあげましょう。自然の糖質・ミネラルが補給できます。

《水分補給の方法》

カップやコップにいれて子供に渡すと、加減ができずに飲みすぎてしまう恐れがあります。乳幼児であれば、ティースプーンに1杯ずつ、こまめに飲ませるようにしましょう。
ガイドラインでは、嘔吐をしても5ml(ティースプーン1杯分)を5分おきに与えるように、とあります。
嘔吐をしないようであれば、徐々に1回量を増やしてみてください。

2-3、胃腸炎回復期の子供の食事

《体力回復につながる栄養あるものを》

まったく食べられない期間が続くと、どうしても周りの大人としては、とにかく何でも食べて欲しいと思いがちですが、弱った胃腸や消化機能の回復を遅らせるような食事はさせないよう意識をもつことはとても大切です。

■胃腸炎回復期に子供の食事として提供したいもの

ー消化のいいもの

固形物を摂取することをお休みしていた胃腸は、回復したからといってもすぐには消化機能が万全に戻るわけではありません。
水分多めの重湯やお粥、柔らかく煮込んだ野菜スープなど、消化の負担にならないものを用意してあげましょう。

ー果物

ビタミン、ミネラルが豊富に含まれる天然の栄養たっぷりの食品です。
甘くて食べやすく、水分補給にもなるので、適量ずつ食べさせてあげましょう。
とはいえ、通常ならすぐに消化できる食物繊維も、回復期の消化能力ではなかなかそうはいきませんし、過剰な摂取は下痢を助長することにもつながります。
元気なときの半分くらいの量を目処に、様子をみながら徐々にスタートして行ってみてください。

■胃腸炎回復期の子供の食事で避けたいもの

ー刺激の強いもの

香辛料などは、胃腸にも刺激になり、回復を遅らせることにつながりかねません。

ー脂質の多いもの

つい、甘いヨーグルトや菓子パン、ドーナツなど、甘くて食べやすいものを与えがちですが、脂質の多いものは胃腸への負担になります。重湯・お粥などヘルシーなものからスタートしていきましょう。

ー冷たいもの

子供は、アイスなどは無条件に欲しがるものです。食欲が出てきたことに喜ぶあまり、子供の欲するままを与えていてはいけません。お腹がびっくりするようなものはもう少し待つよう説明し、そもそも見せたり言ったりしないよう配慮してあげることも大切です。兄弟がいるときは、おやつは別室で食べさせるのもいいですね。

ー甘いもの

回復期の親の心理としては、安堵や甘さが出てきやすく、とにかく口にしてくれたらいい、という感情を持ちやすくなりますが、甘いものには、弱ったお子さんの体に栄養を与えてくれるものは期待できません。

プリンやゼリー、菓子パンなどは食べやすいものですが、そこにばかり頼っていては、免疫力にもつながりません。
多少の甘いものを食べさせてもいいですが、優先順位を頭にいれて配分していくといいでしょう。

まとめ

まずは、ウイルス性の胃腸炎にかからないように、普段から栄養ある食事をいただいて免疫力を高めておくことが第一ですが、乳幼児はとくに何でも口にいれてしまい、どこでウイルスをもらってくるかわかりません。

なってしまったら大変ですが、しっかりケアしてあげることに注力するしかありませんね。
お母さんが、お子さんにとっての唯一のホームナースです。
大変な時期はほんの一時期ですから、いろんな視点からケアをしてあげてください。

《文責:日本美食脳アカデミー協会代表理事 高久恵美子》

プロフィール
代表理事 高久恵美子
日本美食脳アカデミー協会代表理事 高久恵美子カロリー計算・g計算不要。しっかり食べてキレイになる食事法を推奨する看護師/保健師。
「毎日の食は、わたし達の味方である」ということを、栄養学とは異なった観点で、ワーキングウーマンやダイエットを繰り返してきた人に教えています。FB   詳しいプロフィール お問い合わせこの著者の記事


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