甘いものがやめられない!
甘いものなしでは生きられない!
甘いものを嫌いになれたらどんなにいいか!
でも・・・大好きな甘いものは、なかなか嫌いになれないもの。
そうなのです。甘いものは、思っている以上に手強い存在。
甘いものを「嫌いになる」ということはなかなか難しいけれど、ちょっと視点を変えて、甘いものを「怖いもの」として論理的に捉えてみると、甘いもの離れをすることができるかもしれませんよ。
目次
1 甘いものって私たちをこんな姿にする!
わかっているけどやめられない、甘いもの。
実は甘いものって、私たちのカラダをこんな風に変えてしまうものなのです。

自分の美と健康を引き換えにしてまで、甘いものを食べ続けますか?
手遅れになる前に、まずは甘いものの負のパワーを知りましょう。
1-1 肥満
肥満は、血糖値とインシュリンの働きが大きく関係しています。
食事をすると血糖値が上がりますが、私たちのカラダの血糖値は、すい臓から分泌されるインシュリンというホルモンでコントロールされています。
インシュリンは血糖値を下げる役割と、脂肪を溜め込む役割があるホルモンです。
血糖値とは血液中の糖の濃度です。血液中に大量の糖があると血液がドロドロになり、カラダの中を巡れなくなってしまい、これが疲れやすさや病気の原因となります。インシュリンはそうならないよう、血糖値を下げるべく、血液中から糖を除くよう全身の細胞に指令を出すのです。
甘いものを食べ過ぎていると、全身の細胞がどんなに頑張っても、血液中に糖が余ります。その時は、インシュリンは余った糖を脂肪細胞に送り込むよう指令を出し、中性脂肪となり蓄えられます。これが肥満のメカニズムです。
これに加え、肥満は、甘いものが甘いものを呼んでしまう作用も相まって起こります。
甘いものを食べると血糖値が急激に上がるため、カラダはインシュリンを分泌し、急激に下げようとします。そうすると今度は、異常に血糖値が低下し過ぎ、低血糖状態に陥り、カラダはエネルギーになりやすいもの、つまり甘いものを強く欲してしまいます。
このように甘いものの摂取による血糖値の乱高下は、さらに甘いものを欲するという悪循環を招いてしまいます。
血糖値が急激に上がるものばかり食べていると、インシュリンの作用で脂肪を蓄えようとする上に、甘いものがどんどん欲しくなるという肥満へのループにはまってしまうというわけです。
1-2 シミ、しわ、たるみ

シミ、しわ、たるみは、肌の老化現象です。
甘いものばかり食べていると糖分の過剰摂取となり、カラダの中に糖が溜まります。
それがたんぱく質と結びつくとカラダの細胞を劣化させてしまうのです。この老化現象を「糖化」といいます。糖化は「カラダの焦げつき」とも言われます。
その「焦げつき」についてイメージしやすい例えをご紹介しますね。それは、ホットケーキを焼くとき。
砂糖、卵、小麦粉、牛乳入りの生地を焼くと、きつね色になり、そして焦げができますね。この焦げは、糖とたんぱく質が結びついた「糖化」によるものです。
甘いものを摂取しすぎると、この焦げと同じようなことが、体の内側で起こるわけです。
私たちが食べた甘いものが、カラダの中で焦げつき、シミ、しわ、たるみを引き起こしているのです。顔のくすみや髪の毛のツヤがなくなるなども、糖化による老化現象です。
焼き過ぎたホットケーキのような、パサパサ、カサカサなお肌にはなりたくないものですね。
1-3 肌荒れ
甘いものばかり食べていると、肌の新陳代謝機能が衰え、肌の状態が悪くなります。
それはなぜかというと、砂糖がカラダに入ると、カラダはまず砂糖を分解することに力を注ぎ、肌を生まれ変わらせることを後回しにしてしまうからです。
カラダに取り込まれた砂糖は、分解するためにミネラルとビタミンB群を大量に消費します。これらのミネラルとビタミンB群は、お肌の新陳代謝にも欠かせない栄養素。でもそれらは砂糖の分解に使われてしまい、肌の再生にまわせなくなっているのです。結果として肌の細胞が生まれ変われず、肌の乾燥、キメの粗さ、ニキビなどの不調として現れてしまうのです。
1-4 便秘
毎日のお通じはきちんとありますか?
甘いものがお通じに与える影響は、実はとても大きいのです。

腸内の悪玉菌の大好物は、砂糖。砂糖が入ると腸内の悪玉菌は大喜び。どんどん繁殖し毒素を発生させて、腸内環境を悪化させ、腸の消化吸収機能を邪魔します。
消化吸収ができないとは、つまり、便が長く腸内にとどまるわけです。悪玉菌が繁殖した状態の腸内では、蠕動運動が鈍くなり、便を押し出す力も低下。便が腸内にとどまると、水分を吸われてカチカチになり、排便が困難になります。これにより、便秘となってしまうのです。
東大で行われた糖反射という興味深い実験があります。砂糖を摂ることで胃腸の動きが停滞し、特に白砂糖は、腸の蠕動運動の顕著な停滞が見られたとのこと。(参考:https://www.geocities.jp/tbcby865/haisetsuno-kagaku/shiryou/satou-ni-tsuite.htm)
昨今の食べ物にはほとんど砂糖が入っていますので、私たちのカラダは、いつ便秘になってもおかしくないと言えますね。だんだん甘いものとの付き合い方を考え直したくなってきませんか?
1-5 カンジタ菌の増殖
1-4の続きになりますが、カラダの中には悪いものが入った時に戦ってくれる免疫細胞というものが存在します。その免疫細胞の実に70%以上が、腸に存在すると言われています。
腸内環境が整っていれば免疫細胞がしっかり機能して、カラダに悪いものはやっつけてくれます。
でも腸内に砂糖が入ると・・・腸内環境が悪化します。砂糖は悪玉菌のエサとなり、カンジタ菌が異常繁殖します。カンジタ菌は真菌と呼ばれ、カビの仲間です。
腸内環境のバランスがとれていれば悪さをする菌ではないのですが、砂糖の摂取で腸内環境が悪くなると、カンジタ菌は悪玉菌の仲間になり異常発生します。もう、こうなると、免疫機能はもはや期待できません。
いわば、カラダの中がカビでいっぱいな状態となるのです。カンジタ感染症の一例として、頭痛、アレルギーの悪化、尿道炎、膀胱炎、発疹やかゆみなどの症状などがあります。
1-6 精神不安定
最近イライラしたり、急に不安になったり・・・落ち着かない毎日を過ごしていませんか?
それはもしかしたら、砂糖依存症かもしれません。

砂糖は麻薬以上の依存性があると言われています。
砂糖を大量に摂取し血糖値の乱高下を繰り返していると、低血糖やビタミンB1不足になり、イライラしたり、集中力の低下や頭がぼーっとする、攻撃的になるなどの症状が出ます。
甘いものに支配されていると、健やかな生活を送るのがとても難しくなります。もし甘いもの漬けの毎日だとしたら、自分の生活を見直してみましょう。
1-7 冷え
甘いものの食べ過ぎは、冷えを招きます。
砂糖による血糖値の急上昇、そして急降下は、体温の急上昇と急降下を招きます。この体温の急降下が深刻な冷えとなります。
そして冷えと密接に関係するのが血流です。血流が悪くなることで冷えとなります。砂糖がカラダに入ると、まずは砂糖を分解するためにビタミンB群が使われます。
これは血液の生成や血流をよくするためにも必要な栄養素ですが、砂糖の分解に使われてしまい、血液にはまわってきません。そのため、血液がドロドロし、質が低下し、巡りが悪くなるわけです。
このように、砂糖は血液の生成や血流を巡らせるための働きも滞らせてしまうのです。カラダの中で砂糖を分解することは、実はとてもエネルギーがいることで、体内の様々な栄養素がそれに使われ、他の働きを後回しにしてしまうのです。
1-8 生理痛
砂糖の大量摂取はホルモンバランスを乱し、血流や血液の質を悪くし、カラダを冷やします。
カラダが冷えることで、ますます血液は循環しなくなり、スムーズに排血ができず、子宮に経血が溜まります。
この時、子宮を収縮させて経血を押し出そうとするホルモン(プロスタグランジン)が分泌されますが、この分泌量が多いと、生理痛になると言われています。
さらには、砂糖の分解にビタミンB群が使われると先にお伝えしましたが、それは女性ホルモンの代謝にも必要な栄養素です。砂糖の分解に優先されてしまい、カラダの中のビタミンB群が不足、女性ホルモンのバランスの乱れにつながるのです。
1-9 不妊
砂糖の過剰摂取による冷えと血流の滞りは、妊娠しづらいカラダにしてしまいます。

まず冷えると、自律神経が乱れホルモンバランスが崩れ、妊娠するために必要な卵巣機能や黄体機能が弱ってしまいます。卵子が成熟しにくくなり、排卵をしなくなり、子宮内膜が厚くならず着床力に乏しい・・・など、妊娠力が低下してしまいます。妊娠するうえで、冷えは大敵です。
冷えにより血流が滞ると、子宮や卵巣に新鮮な血液が届かず、子宮や卵巣の状態が悪くなってしまいます。子宮や卵巣の病気や、流産や早産を引き起こすとも言われています。
2 甘いものを近づけない環境づくり
甘いものを嫌いになる、というよりは、甘いものに近づかない、近づけないような環境づくりも大切です。ちょっとした工夫で、甘いものの誘惑から逃れましょう。
2-1 買い置きをしない

目に見えるところ、手の届くところにあると、ついつい手が伸びてしまいます。
どんなに我慢していても、甘いものがそこにあるということを知っているだけで、気持ちは落ち着きません。ついには、どんなに固い決意も、いとも簡単に崩れてしまうのです。
「なんとなく」の甘いものの買い置きは、やめてみることをしてみましょう。
2-2 甘いものコーナーに行かない
スーパーやコンビニの甘いものコーナーに行くと、美味しそうなものがずらりと並んでいます。視覚に入ったら、過去の「甘いものは美味しい!」という記憶がよみがえり、食べたい気持ちが湧き上がってしまいます。誘惑に勝てそうにないなら、近づかない方が無難です。
甘いものがない生活に慣れるまでは、甘いものコーナーに近づくことはやめておきましょう。
2-3 甘いものはいらないと周囲に宣言する
思い切って、甘いものを控えていることを周囲に宣言してみる。
実はこれ、とても効果的な方法です。

有言実行しなければ、と自分で自分を律することができますし、なんといっても周囲が気を使ってスイーツのお誘いや、おやつのお裾分け等をしてこなくなります。
お誘いを断れないタイプの方などには、特に有効な手段と言えます。最初はちょっと寂しい気持ちになりますが、慣れてくれば、こんなありがたい環境はないと感謝したくなるほど。
おみやげの内容なども考慮してくれたりと、あなたの固い決意に協力してくれますよ。
2-4 甘いものを買ったつもり貯金をする
甘いものを買ったつもりで、つもり貯金をしてみましょう。

毎日立ち寄るコンビニで、いつものスイーツを買ったつもりで。
いつも付けていたランチデザートをやめて。
小腹がすいた時に買っていた菓子パンをやめて。
日々重くなる貯金箱は、あなたの頑張りの証であり、守った健康の重みです。いつか必ず、貯金箱にお金を入れなくなる日が来ます。そう、甘いものがない生活に慣れた頃ですね。
その時こそ、貯まったお金の使い時です。頑張った自分に、最高のご褒美を贈りましょう。甘いものの誘惑に打ち勝ち、甘いものの虜ではなくなった自分を褒めてあげてください。
3 今食べているものが、半年後、5年後、10年後の自分を作ると認識する
これからの自分の姿を想像してみてください。半年後、5年後、10年後・・・。どんな未来を思い描きますか?

キャリアを積んでバリバリ仕事を。世界中を旅行している。幸せな結婚生活を。赤ちゃんを授かってママに。自分のしたいことを見つけて夢中に・・・。どのタイミングも、キラキラした笑顔で充実した時を過ごしている、と思いたいですよね。
そんな未来の自分のために、今の自分にできることがあります。
それは「食事を整えること」です。
今食べているものが、未来のあなたを作ります。滋養にあふれた食事をしていれば、未来のあなたのカラダは喜び、軽やかでイキイキとしているでしょう。加工品ばかりを口にしていれば、未来のあなたのカラダはきしんで、悲鳴をあげているでしょう。甘いものも、カラダが悲鳴をあげる食べ物なのです。
健康であってこそ、輝く未来があります。どんな生活もまずは健やかなカラダからなのです。あなたが思い描いた未来図を実現させるのに、甘いものは味方してくれますか?甘いもので痛めつけられて泣いているカラダを、少しずつ変えていきませんか?
4 まとめ
甘いものの裏側をいくつかご紹介しました。「甘いものを嫌いになりたい!」と思っていても、なかなか甘いものを嫌いになれないもの。でも、甘いものが怖いものだと認識いただけたなら、甘いものを制限することは可能そうですね!甘いもの、特に砂糖が私たちに与える影響は思っている以上に大きく、あの美味しさ、甘さとは裏腹な一面に驚いたことと思います。残念ながら砂糖を摂り続ければ摂り続けるほど、カラダは壊れてしまいます。
半年後、5年後、10年後、そしてその先まで美しく健やかでいるために。
少しずつ、甘いものの支配から抜け出していきましょう。いつかの未来に、「あの時の私のおかげよ」って思うことができるように。
甘いもの離れをして、健やかな未来への一歩を踏み出しましょう。
本日のコラム執筆:日本美食脳アカデミー協会認定講師椿由紀子