体が冷えるようなら温める食材を使った料理を、疲れやすいなら気を補う料理を、むくみが取れない場合は水分代謝をよくする料理などを漢方食材を用いて作ることで、体調がよくなります。
漢方食材といっても特別な食材ではありません。
自分や家族の健康状態によって、身近な食材やスパイスを足したり引いたりするだけです。冷え性や疲れやすいタイプの人も、体に良い食事をしながら体調を整えて、病気になりにくい体を作っていきましょう。
1、冷え性・疲れやすいタイプの人が抱える症状

冷え症は万病のもと言われますが、日本人女性の半数以上が冷え症に悩んでいると言われます。また、様々なストレスから疲れが蓄積して、体や心が悲鳴を上げている人もいます。
冷え症や疲れやすい体質に気付くことで、体の不調は改善できます。
以下の冷え性チェック・疲れやすさチェックで思い当たることがあれば、体質改善を試みていきましょう。
冷え性や疲れやすい人は、毎日の食事に適した漢方食材をとり入れると、徐々に体調が良くなります。
1−1、冷え性チェック
- 肩こりや腰痛がある
- よく風邪をひく
- 生理痛がきつい
- 便秘がちである
- 手先や足先がいつも冷たい
- トイレが近く夜中もいく
- 36度以下の低体温である
- 足がむくむ
- 運動習慣がない
- 睡眠不足気味
- 手荒れしやすい
- 目の下にクマがある
- 頭痛がする
- 生野菜をよく食べる
- コーヒーやお茶が好き
- 冷えのぼせがする
- 唇の色が悪い
- 手のひらが赤い
- 甘いものが好き
- お風呂は湯船につからずシャワーのみですます
5つ以上当てはまったら要注意。上記のような傾向がある人は、血のめぐりが悪く血が不足している可能性があります。
体を温める食材を摂り、運動習慣をつけることで、冷え症体質を手放していきましょう。
1−2、疲れやすさチェック
- 常に体がだるい
- 午前中が特にやる気がおきない
- 首筋や肩がこる
- 夜ぐっすり眠れない
- 風邪を引きやすい
- 少し歩いただけで息切れする
- 食が細い
- 便秘や下痢など胃腸の調子がよくない
- イライラすることが多い
- お腹が張る
- 髪の毛が良く抜ける
- 年齢の割に白髪が多い
- 目が疲れる
- 顔色が悪い
- 寝汗をかく
- 口の中が粘つく
- 息苦しくなることがある
- 足や腕がだるい
- 唇の色が悪い
- 気力が低下している
こちらも5つ以上当てはまるものがあったら要注意です。これらのような症状を自覚する場合は、気が不足して生命力が低下した状態です。
気のめぐりをよくする食材を摂り、十分な睡眠と適度な運動をしましょう。
2、漢方でひも解く!冷え性・疲れやすい人へのおすすめ食材
食べ物を消化吸収す胃腸の働きが弱ると、代謝機能が乱れてしまいます。
寒い季節は体を温める里芋やにんじんなど土の中で育った根菜類を入れたみそ汁やスープを食べると、体が温まり代謝ががよくなって、冷え性が改善できたり、疲れやすさの改善につながることが期待できます。
2−1、冷え性におすすめ!身近な漢方食材
《野菜や果物》
かぼちゃ、しょうが、トマト、ニラ、ネギ、タマネギ、サクランボなど
《魚や肉》
エビ、サケ、タコ、羊肉、鹿肉など
《その他》
もち米、八角、コショウ、、酒粕、味噌、焼酎、日本酒など
いつものおかずにもう一品、冷え性を予防する体を温める食材を使って、食卓に乗せましょう。
2−2、冷え性改善のための簡単漢方レシピ
①カボチャのレンチン
耐熱皿に薄くスライスしたカボチャを並べ塩コショウし、ふんわりとラップをかけて電子レンジで加熱します。柔らかくなったら完成。とっても簡単に冷えとり一品料理ができるので、気軽にスタートできそうですね!
②体の冷えを取る薬膳スープ
ニンジン、カボチャ、ブロッコリー、コーンの缶詰、キノコ類など、赤、黄(オレンジ)、緑、白、紫、茶、黒色など様々な色の野菜を入れたスープを作ると、免疫力が高まり冷え症が改善されます。
味噌、塩コショウなどのシンプルでヘルシーな味付けだと安心してご家族と一緒に楽しむことができます。
もちろん、忙しい時や味付けを変えたい時には、市販のコンソメスープの素や鶏がらスープの素なども利用しながら、力を抜いて継続していきたいものです。
③サムゲタン
鍋に水600ccを入れ、鶏手羽6本、洗ったもち米大さじ2杯、斜め切りにした長ネギ1本分、ニンニクと、ショウガのスライスしたものをすべて一緒に入れて30分ほど煮込みます。仕上げに塩とコショウを加えます。
スーパーで買える食材だけで、栄養満点な温め薬膳スープの完成です。
④サケのホイル焼き
アルミホイルにサケ、タマネギのスライス、シメジをのせあればローズマリーを糸枝そえ、塩コショウして、水を張ったフライパンフライパンに入れて蒸し焼きにします。
簡単なのに、いろいろな食材を一気に楽しむことができるお手軽レシピの一つです。
味噌・酒・砂糖・醤油をお好みで混ぜると、ちゃんちゃん焼き風にもなり、様々な味付けで楽しむことができる強い味方となるレシピです。
⑤みそ汁
日本の伝統食品の味噌は冷えが原因の腹痛や消化不良を改善します。
2−4、疲れやすい人におすすめ漢方食材
サラダやフルーツなど美容やダイエットに効果的と思われる食材の摂り過ぎで、若い女性の多くが冷え性や疲れやすい体になっています。以下のような食材を摂ることで疲れない体を作ることができます。
《野菜》
かぼちゃ、しいたけ、ニラ、にんじん、ニンニク、タマネギ、ネギ、やまいも、アスパラガス、えだまめ、オクラ、カリフラワー、くうしんさい、そら豆、マイタケ、梅、ショウガ、赤唐辛子など
《果物》
カリン、ナシ、ブドウ、モモ、リンゴ、アボカド、グレープフルーツ、さくらんぼ、すもも、パパイヤ、ユズなど
《魚や肉》
サケ、アジ、サバ、エビ、タコ、イカ、ホタテ、アユ、カツオ、ウナギ、サワラ、サンマ、スッポン、タイ、タラ、ドジョウ、ナマコ、ヒラメ、鶏肉、羊肉、牛肉、豚肉、鴨肉など
《その他》
黒米、もち米、卵、クルミ、クリ、黒豆、カシューナッツ、ハチミツ、ココア、コショウ、シナモン、酢なども体を温める作用があります。
2−5、疲れやすい体質を改善!簡単漢方レシピ
①ネバネバ丼
ヤマイモ、オクラ、モロヘイヤなどを細かくきざみ、だし醤油を少し加えて混ぜ、ご飯にかけて完成です。
②ニンジンのキンピラ
ニンジンを細く切りゴマ油で炒め、、しょう油少々とすりゴマを混ぜます。少しだけ、甘みの素となるはちみつやお砂糖を入れてあげると、お子さんでもパクパク食べてくれますよ。
③タマネギの簡単ピクルス
密閉容器にタマネギのスライスを入れ、ポン酢をかけて一晩おいたら完成です。
かつお節をかけたり、夏にはオクラの輪切りと一緒に和えて食べたりとバリエーションを広げてくれる一品です。
④黒豆ご飯
洗ったお米に炒り大豆をひとつかみ入れて塩少々をふり、普通に炊きます。見た目もヘルシーで食感もよく、お弁当のご飯などにもオススメです。
⑤リンゴの簡単コンポート
皮をむいたリンゴをくし形に切り、ハチミツをかけて電子レンジにかけます。
学校から帰ってお腹を空かせているお子様などの簡単おやつにもいいですね。シナモンをかけるとなおいいでしょう。
⑥おまけ
健康に最もよいのが蒸し料理と言われています。
上記の冷えを取る食材や、疲れを取る食材を蒸し器に並べて蒸して粗塩を少しかけて食べるだけで薬膳料理になります。
体調を整えるには、素材を生かした簡単な料理が一番効果的です。
蒸す、煮る、焼く、揚げるなど、火熱温度が上がれば上がるほど胃腸に負担がかかります。
疲れやすく、胃腸の調子がよくない場合は、蒸し料理をメインにしましょう。
3、季節によって体を温める食べ物と冷やす食べ物を食べ分ける
漢方的に見ると食材は、体を温める「陽」の食材、体を冷やす「陰」の食材、どちらでもない「平」の食材に分かれます。
主に暑い地方で収穫された野菜や果物は陽の食材、寒い地方で収穫されたものは院の食材と言われますが、旬の野菜や果物はその季節の体に合った食べ物です。
また、食べ物全般の色については、黒っぽい色の食材が体を温め、白っぽい食材が体を冷やすと言われています。体を温める黒い食材とは、黒米、黒砂糖、黒ゴマ、黒豆、黒きくらげ、黒酢などす。
白米や漂白されたパン、白砂糖などは体を冷やしてしまいます。
冷えを感じるときは本来夏の食材であるキュウリ、ナス、セロリ、レタス、ゴーヤ、トウガン、パイナップル、パパイヤ、マンゴーなどは控えるようにしましょう。
トマトは夏の食材ですが、スープなどの煮込み料理に使うと体を温める作用があります。
ちなみに平の食材とは、温めも冷やしもしない中間のもので、小豆や大豆、キャベツ、ブロッコリー、じゃがいも、キノコ類などを意味します。
まとめ
季節によって個人のそれぞれの体質にあった食材を摂ることで、冷え症や体の疲れやすさをとることができます。
漢方からみる薬膳料理は、特別な食材を使った料理ではなく、食べなれたものを効果的に使うとぐっと取り入れやすくなります。
食事を工夫することで、人が持っている自然治癒力を引き出し、本来の健康な体を作って行こうというものなので副作用の心配もありませんので、小さなお子様からご高齢のご両親にも安心して提供することができますよ!