驚いたことに、「昔は甘いものが嫌いだったのに、どういうわけか大人になってから甘いものがやめられなくなってしまって困っている・・・」実はそんなお悩みを持つ方も、少なくありません。
甘いものは、食べすぎれば、肥満や肌質の低下、疲れやすさにつながるもの。
できればやめたいけれど、やめられない・・・。
昔は嫌いだった甘いものが、やめられなくなってしまう原因は、一体何なのでしょう?そのメカニズムと、嗜好の変化についてまとめました。
目次
1、嫌いだった甘いものがやめられなくなる「嗜好」の変化
わたし達人間や、他の動物達も、自分の「食事の嗜好」というものを持ち合わせています。食事の嗜好は、幼少期の家庭環境によって育てられる要素が強いと言われていますが、実は大人になってからも、良くも悪くも大きく変化をする可能性に満ちています。それは、人生におけるステージの変化であることが多いようです。
人生における、どんなステージの変化がきっかけで、「嫌いだった甘いものがやめられなくなる」という嗜好の変化につながっていくのか、分類してみました。
1-1、生活環境の変化

学生時代の時間の過ごし方と、社会人になってからのそれは、全く異なるものになりますよね。例えば、学生生活に入る時や社会人生活に入る時は、実家暮らしから一人暮らしや寮生活へと変化する人も多く、衣食住のすべてに影響をしていきます。
通学・通勤時間の変化や、社会人などでは、職務形態によってはランチの時間もままならなかったり、残業時間が多ければ夕食の時間も大きく変わってきます。
このような生活環境の変化が、食事の嗜好にも大きな変化を及ぼす可能性が十分にあります。
1-2、食習慣の変化

生活スタイルが変化すると、よほど意識しない限り一番崩れやすくなるのが食習慣です。
家庭では、親が栄養のバランスを考えて用意してくれていた食事も、一人暮らしになることによって、野菜が不足したり、簡素な食事になることも。
しかも、現代社会は、24時間営業のお店など、いつでもどこでも食べ物が手に入る環境にあるために、本来寝るべき時間にものを食べたり、手軽でスピーディーに済む食事を選んでしまったりします。
わたし達人間のカラダは、食べたものから獲得できる栄養源をもとに細胞の再生をしており、このような食習慣の変化は、獲得できる栄養の内容の変化をもとに、味覚という細胞にまで変化を起こすことによって、「嗜好」まで変えていくのです。
2、栄養不足が原因で「嫌いだった甘いもの」がやめられなくなる?
あんなに嫌いだった甘いものを欲してしまう・・・・。それは紛れもなく、食事の嗜好が変わったからなのですが、その食事の嗜好が変わるのに、大きな影響を及ぼしているのが栄養不足です。
豊かな時代に、栄養不足だなんて、驚かれるかもしれません。しかし、現代人の食生活の問題点としては、カロリーはしっかり摂っていても栄養がきちんと確保できていない「栄養不足」の状態である人は少なくありません。
2-1、ビタミン・ミネラルの不足
食事のバランスが崩れると、間違いなく不足するのがビタミン・ミネラル。
何かしらの栄養が不足すると、脳はそれを補わせようとし、何かを食べさせようと指令を出します。
しかしながら、脳が一番欲するものは、「糖質」。糖質を豊富に含み、手っ取り早く糖質を補給できるものといえば、白砂糖や小麦粉が使われた「甘いもの」なのです。好きであろうがなかろうが、美味しかろうが美味しくなかろうが、脳が「糖質」を強く欲するために、甘いものを必然的に食べてしまうのです。

また、恐ろしいことに、糖質を消化する際に必要になってくるのが、ビタミン・ミネラル。
つまり、甘いものを食べれば食べるほど、ビタミン・ミネラルが消耗されていってしまい、また甘いものを欲してしまう、という悪循環が起こるのです。
2-2、糖質の不足
ダイエットをしようとして、食事から糖質を抜いたり、忙しいからと食事を食べなかったりすると、不足するのが糖質です。
糖質とは、米などの主食や、根菜類、イモ類、砂糖に多く含まれるもの。実はこの糖質、過剰に摂取すれば、間違いなく太る原因にはなるのですが、脳が一番欲する栄養素でもあるのです。
つまり、無理なダイエットをして糖質制限をして、主食を抜いてしまったりすると、糖質不足に陥り、脳が「糖質を摂取したい!」と反応してしまうのです。
脳は、糖質さえ入ってくればいいのですから、それがご飯など主食であろうと、砂糖たっぷりの甘いのもであろうと構いません。ここで、米などの主食を選ぶことができればいいのですが、つい、お手軽に口にできるお菓子や菓子パンなどの糖質の方が、身近にあるものー。

ここで、無意識のうちに摂取した砂糖・小麦粉は、依存性が高く、もとは「甘いものが嫌いだったのに・・・」という人でも、脳が勝手に欲するようになってしまうのです。
2-3、タンパク質不足
タンパク質とは、三大栄養素(タンパク質・炭水化物・脂質)の一つ。タンパク質は、カラダをつくる大もととなる栄養素です。
例えば、
- 筋肉
- 皮膚
- 爪
- 髪の毛
- 骨
- 血液
などは、タンパク質で生成されるものです。

このタンパク質を摂取できる食品がこちら。
- 肉、魚、卵などの動物性タンパク質
- 大豆製品からなる植物性タンパク質
とくに動物性タンパク質は、豊富な脂質と消化に時間を要する内容で形成されており、食事の中でも満足度を得やすく、また腹持ちもいい食品となります。しかし、ダイエット中であったり、コンビニのお弁当や簡素な食事では、十分な量の確保をすることができません。よって、動物性タンパク質が不足することによって、お腹が空きやすくなり、カラダは「ガス欠」と判断してしまいます。すると、もっともエネルギー効率の良い甘いものを自然と口にしてしまうようになるのです。
甘いものを一度食べると、甘いものが嫌いだったのにも関わらず、いつの間にか、その依存性に引き込まれ、「甘いもの、あんなに嫌いだったのに、やめられなくなる・・・」という運びになってしまうのです。
3、嫌いだった甘いものも「好き」にしてしまう依存性
かつて甘いものが嫌いだった人にとって、「甘いものがやめられなくなった自分」を悔やむ方は多いですよね。
甘いものがやめられない人って、「自分に甘い」「意思が弱い」「偏食家」というような社会的イメージもあり、罪悪感を持っている方も少なくありません。
でも、それほどまでに嫌いだった甘いものが「やめられなくなる」「好きになってしまう」には、あなた自身が悪いのではなく、脳のせいだったのですね。
3-1、血糖値の乱高下が原因になる
血糖値という言葉をご存知でしょうか。血糖値とは、血液中に存在するブドウ糖の濃度のことです。
食事をして、「糖質」を摂取するたびに、この血糖値が上昇します。
この血糖値の上昇度は、食べ物の種類によって、つまり、その食べ物にどのくらいの糖質が含まれるのか、によって変わっていきます。もっともこの血糖値を上昇させやすいものが「白砂糖」と「小麦粉」です。両者ともに、使用方法の相性がよく、ペアで使われることがほとんど。
例えば、「白砂糖」「小麦粉」で作られるものといえば、
- クッキー
- ビスケット
- 菓子パン
- パイ
- バームクーヘン
- ドーナツ
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このように、普段何気なく食べている甘いもののほとんどに、血糖値を急上昇させる「糖質」が含まれているのです。血糖値を急上昇させると、幸せホルモンといわれる「セロトニン」が分泌されます。脳は、この幸せホルモン「セロトニン」が大好きです。「幸せ感」「うれしさ」「心の落ち着き」を感じることができるので、食後時間が経つにつれて減っていくセロトニンに、耐えられなくなってしまうのです。
すると、「またセロトニンで幸福感を味わいたい!」と思うようになり、手取りはなく血糖値を急上昇させる作用のある「白砂糖」「小麦粉」といった材料でできている「甘いもの」を欲する、まさに「中毒性」にはまっていってしまうのです。
菓子パンを一度食べると、翌日もその翌日も食べたくなるのには、こういったスパイラルがあるというわけなのです。
4、甘いものを少しでも減らしたい!解決策とは??
なぜ、あんなに甘いものが嫌いだったのに、やめられなくなってしまったのか、理由がわかったところで、それでも可能な限り減らしていきたい甘いもの!!!完全に断絶する!!!というのも、上記の依存性の内容などからもお分かりいただけたかと思います。でも、ご心配は不要です。少しでも、甘いものを減らしていくことが可能な解決策をいくつかご紹介いたします。
4-1、栄養の確保をきちんとする
ここまでで、ビタミン・ミネラル・たんぱく質・炭水化物などの栄養の不足により、甘いものを欲するようになってしまうメカニズムがわかりました。つまりは、栄養不足な状況を、可能な限り避け、栄養で満たされた食事を摂取していくことができれば、甘いものの摂取量を減らすことが可能なのです。
・ビタミン、ミネラルの確保
ビタミン・ミネラルを豊富に含む代表例として、「野菜・果物」があります。
とくにビタミンは、加熱をすることによって、消費されてしまうものが多いため、生のままいただけるサラダ・フレッシュフルーツなどを日常の食生活にいれこむことも大切です。
また、ナッツや海藻、きのこ類にもビタミン・ミネラルは豊富に含まれていますから、おやつに、お味噌汁に、おかずの具材に、これらを意識して取り込んでいくことは大きな意味があると言えます。
・タンパク質の確保
先にも出てきている通り、タンパク質には「肉・魚・卵・大豆」があります。これら、タンパク質は、「食べだめ」をすることができません。よって、1日3回の食事で毎回しっかりと補っていく必要があります。
目安としては、1回のお食事で、手の平サイズ分のタンパク質を意識していきましょう。ハンバーグなら大きめを1個、納豆1パックなら、卵などを1個追加してあげると、ちょうど手の平サイズになりますね。タンパク質の欠如は、空腹感を招く原因となり、甘いものを欲しやすくなるから、ということでしたね。ぜひ、朝・昼・夕と、満足感を得やすい、タンパク質がしっかり入った食事メニューを選んでいきましょう。
・炭水化物の確保
炭水化物とは、糖質と食物繊維を含みます。米や根菜類、イモ類などには、この炭水化物が豊富に含まれており、食事をしっかりすることで、活動していくために必要な糖質をしっかりを確保することができます。しかしながら、食事を抜くことによって不足したこの糖質を、甘いもので補おうとしてしまうのが、わたし達人間の脳なのです。
つまり、炭水化物を、毎回の食事できちんと摂取することも大事なのです。
しかしながら、炭水化物は太りやすい、というイメージから、多くの女性が「全く食べない」か「少量のみ食べる」という無理な方法を選びがち。
では、どのくらいの量の炭水化物を、1回の食事で摂取していいのでしょうか?
例えば、ごはん茶碗軽く1杯分(握りこぶし1つ分)の炊いたお米は、いただいても太ることのない、むしろカラダにとって必要な炭水化物の量になります。怖がることなく、しっかり美味しくごはんもいただきましょうね。
4-2、ライフスタイルを整える
わたし達の脳は、常に「幸福感」を求めています。ところが現代人は、何かと忙しいもの。忙しい分、カラダを休ませることができればいいのですが、それだけでは済まないのが現状。やはり、自分のキャパを超える仕事量や、精神的に苦痛を感じることが続くと、どうしても蓄積されていくのがストレスです。
ここで大切なことは、先にも出てきた幸せホルモン「セロトニン」。
セロトニンとは、アドレナリンやノルアドレナリンと同じく神経伝達物質の一つで、精神の安定に大きな役割を担っています。
このセロトニンが正常に働くことによって、
- 心が落ち着く
- 睡眠の質を良くする
- 気持ちを落ち着かせて食欲を抑制する
という健やかな毎日をサポートする役割を持っています。では実際に、このセロトニンがどうカラダに働きかけているのかを見てみましょう。
《心を落ち着かせる》

幸せホルモンという別名が付けられているだけあって、幸福感や充実感をもたらせるなど、精神面に働きかける大きな役割があります。逆に、セロトニンが不足すると、その反対の精神状態を引き起こすことになるのです。不安やイライラ、集中力の低下、怒りっぽくなる、などという精神状態をつくり、食生活や生活週間そのものに大きな影響を及ぼすようになってしまうのです。
朝:ちょっとだけ早起きをして、ゆっくり自分の時間を確保しましょう。
昼:ランチの時間は忙しい最中の、心の休息の時間です。どんなに忙しくても、リラックスできる時間を数分でも確保しましょう。
夜:1日頑張った自分へのご褒美の時間を作ってあげたいものです。半身浴をしながら読書、やお風呂上りのストレッチタイムなどを作ってみてはいかがでしょうか?
《睡眠の質を良くする》

良い睡眠に欠かせないメラトニンというホルモンがあります。
メラトニンは、就寝時に「体温・脈拍・血圧」などを低下させることにより、カラダが休眠しやすくなるための手助けをしてくれるホルモン。このメラトニン。実は、昼間のうちに体内で生成されたセロトニンが、夜になるとメラトニンに変化するのです。つまり、カラダがセロトニンをいかに必要か、ということがわかりますね。
可能な限り、午前0時前にはベッドに入り、しっかり睡眠時間を確保しましょう。
また、残業などで睡眠時間が確保できなくても、入浴してカラダを温めてあげると、神経が落ち着き、深い眠りに入りやすくなります。睡眠時の頭の向きにも、入眠の深さに関係があるようです。意外にも、北枕・東枕の方が、よい睡眠を確保しやすいという風水上の考え方もありますので、今の頭の向きで睡眠の質が確保しづらいと感じる方は、ぜひ方位を変えてみることもオススメいたします。
《消化をサポートする》

カラダの中でも、腸管にもっとも多くするセロトニン。腸管に多く存在することによって、消化するために必要な蠕動運動を促進する役割を担っています。そしてもちろん、幸福感ももたらせてくれる大切な存在です。
しかし、この消化。現代人の豊かな食生活では、乱されやすくなっているのが現状です。
とくに、夜遅い時間は、消化に負担のかかるタンパク質や、脂質の多いものは避けることが大切です。
揚げ物や、大量のお肉などは、20時以降の食事では、控えめにし、消化に負担のかからない野菜や魚・大豆製品を選ぶようにしましょう。
まとめ
「あんなに嫌いだった甘いものがやめられなくなった理由」は、いかがでしたか?味覚はいとも簡単に変化していきます。逆を言えば、甘党の人が食生活やライフスタイルを整えることで、脱甘党も可能、ということですね。
甘いものには、怖い依存性もありますが、癒しの効果もあります。食べ過ぎは、健康にも美容にもいい影響はありませんが、ストレス社会の今、上手に付き合っていきたいものです。
ぜひ、ライフスタイルも含め、ご自身の毎日を改めて見直してみる機会になれれば幸いです。